遍路日記(1日目)
早朝に徳島に着き、電車で1番札所の最寄駅である板東駅に向かう。
駅を出ると道には親切にも1番札所へと続く緑のラインが引かれていた。
へーっと感心しながらラインに沿って歩いていると、いきなり喫茶店のおっちゃんに「おお、お遍路かコーヒー飲んでけや」と声をかけられる。
胡散臭い感じがすごくしたが、お接待とのことで断らずにお邪魔することに。
初めてのお接待でどんなものなのかというワクワクもあったが、これから頑張ろうと意気込んでまだ何もしていなかったので、なんだか悪いことをしているような気がして一刻も早く歩き出したかった。
しかし、作りかけのコーヒーそっちのけでおっちゃんの話は続く。
ついには無料宿泊場所などが書いた紙をくれて、それを見ながらの指南(この日はここまで行ったほうがいい、ここに泊まった方がいいなどという)が始まった。
私は無計画で成り行き任せで回ろうと思っていたのだが、ここで早くもそれが崩れてしまった。断ることはできたのだろうが、己の心の弱さよ…。
結局、その後1番の霊山寺までおっちゃんが同行指南し、参拝作法も細かく教えてくれた。
読経のとき自分は全部読みたかったのだけど、全部読んだら疲れるからと大分省略された。まあ、お礼参りで1番に戻ってくるからそのときに全部読めばいいかとなんとか自分を納得させた。
おっちゃんに場所、ポーズなど指定されて言われるがままに撮った写真。
(菅笠、念珠、金剛杖、白衣は売店で購入)
写真撮影が終わりおっちゃんと別れ、やっとのことで1人になれた。
いよいよここから始まる。
仕切り直して出発し、2番札所を難なく参拝し、3番札所へ向けてくてくと歩いていると車に乗ったおばさんが宿の宣伝を兼ねた飴などのお接待をくださった。納札をぎこちなく渡す。(遍路ではお接待を受けたら納札を渡すのが作法となっている)
また3番の札所の納経所の方に歩き遍路の方にと遍路のいろはが載っているパンフレットをお接待ですと言い差し出された。
お接待という言葉だったのでここでも例に倣って「納札を渡した方がいいんですか」と聞くと「ここはお寺なんで結構ですよ」と言われた。
その後道中では「頑張れ」とか、「若いのに偉いですね頑張ってください」などというお言葉を頂いた。
歩いている道沿いではよく熊手で落ち葉を集めていたり、お寺のような家も多かった。へんろ道は山道や「え、ここを通るの?」というような所も多かった。
そして1日目の宿泊場所は6番札所安楽寺の通夜堂(入り口門の2階部分)とすることに。
Kくんという19歳の青年が先客でいた。
少し話して、趣味の話になったのでコマを披露した。お礼にKくんはロックダンスをやっている動画を見せてくれた。
夜ご飯を持っていなかったので近くのローソンまで(出かけ片道1.5kmくらいあってすごく損した気分)行き食事をとって寝ることにする。
お寺のトイレで洗濯もした。
今日は1~5番までしか行けず、別格の1番を通り過ぎてしまったので明日行く予定だ。
安楽寺通夜堂(写真の2階部分)
安楽寺通夜堂内部